本とゲームとサウナとうんち

ライターが書くブログです。本とゲームとサウナとときどきうんちが出てくるブログです。

まだ遅くはない ーサラバ(西加奈子)を読んでー

久しぶりに長編を読んだ。西加奈子のサラバだ。本屋で一行目を立ち読みしすぐにレジに向かった。 「僕はこの世界に左足から登場した」 こんな一行目の小説が面白くないわけがないという期待と、どうやったらこんな一行目が書けるんだよという嫉妬が混じりな…

サウナ小噺「十二分」

大抵のサウナ室の壁には十二分時計という特殊な時計が掛けてある。十二分時計は時刻ではなく十二分という時間を計るためだけにある。十二分時計には秒針と分針の二つの針があり、秒針が一周すると分針が一つ進む。秒針が十二周すると分針は一周して元の位置…

無料の価値とは

映画や漫画を見たり読んだりするときにハズレを引くということがなくなった。事前にネットで情報が得られ、口コミなどですでにそれを体験した人たちの感想を見ることができるようになったからだ。面白そうなら見ればいい、面白くなさそうであればやめればい…

縦と横、どっちがわくわくするか

事故や災害などのニュースで最近よく目にするのが視聴者提供の動画だ。スマホの普及によって誰でも動画を撮影できるようになり、一人一人がニュースの発信者になれる。テレビ局もカメラマンを派遣することなく、直後の生々しい映像を提供してもらえるので重…

仕事も小説も人であるけれど ーとにかくうちに帰ります(津村記久子)を読んでー

朝起きて顔を洗って朝ご飯のお茶漬けを食べて天気予報を確認して歯を磨いて家を出て電車に乗って職場に向かう。職場に着いたらパソコンを開いて文字を書き定時になったのを確認したら駅までの帰り道あるいはプラットホームで会社の人と鉢合わせすることがな…

考えない人は簡単にコントロールされてしまう ー1984年(ジョージ・オーウェル)を読んでー

「1984年」は1949年にジョージ・オーウェルによって書かれた小説だ。タイトルの通り、1949年当時からみた未来である1984年の世界を描いている。 とある革命によって民主主義が崩壊し、社会主義、全体主義が色濃くなった世界はオセアニア、ユ…

笑って死ぬのはいいことか ー「電車道」(磯崎憲一郎)を読んでー

これは二人の男の生き方を描いた小説だ。 ひとりは四十歳を目前にしてそれまで営んでいた薬屋や家族を突然捨て山に籠もる生活を始める。その土地で知り合った子供たちに様々なことを教えているうちにそこで私塾を開き、後に学校の校長になる。 もう一人は銀…

「人生を研ぎ澄ませろ」破獄を読んで

もし何か罪を犯して刑務所に入ったとする。そのとき脱獄しようという気持ちになるだろうか。おそらくならないだろう。デジタルキー、監視カメラ、分厚いコンクリートの壁、現代の刑務所の警備がどのようなものなのかは知らないが、精一杯の努力を尽くしたと…

四万円でやる気を買った

十年ぶりのブログということでちょっとテンションが上がっていたが、最初のポスト以来まったく書いていない。書かなければと思いつつも、何かと理由をつけて書いていなかった。 これはまずい。このままだと何も書かずに、毎日毎日満員電車で会社に向かい、無…

10年ぶりぐらいのブログ

およそ10年前、24,25歳ぐらいのころ、ブログを書いていた記憶がある。 結構真剣に書いていた。ブログを真剣に書くということがどういうことなのかわからないが、その当時は一つの記事を書くのに1時間、長いときには2時間ぐらいかけて内容を吟味し文章を整え…