本とゲームとサウナとうんち

ライターが書くブログです。本とゲームとサウナとときどきうんちが出てくるブログです。

創作 お題「ききただす」 タイトル:屋上

ききただす 【聞(き)糺す】 疑問点などを当事者に直接聞いて確かめる。 新明解 国語辞典 第七版 P333 ***受験勉強の緊張感に慣れはじめ、夏ということもありクラスには少しだけ生ぬるい風が漂っていた。といっても、僕はそんな風を感じて何かしらの行動…

咳人の日記

咳せき。「咳嗽(ソウ)・労咳・謦(ケイ)咳」新明解 国語辞典 第七版 P221 これは咳のような声で会話する「咳人(せきじん)」による日記である。 ゴホング:オホホング ゴホッ ゴホゴホ ゴホ カッカッ ンンウン ウウン ゴホゴホゴホッ コホンコホン オホ…

創作 お題「かさいるい」タイトル:砂の味の花

かさいるい1【花菜類】花の部分を食べる野菜。例、カリフラワー・ブロッコリー・フキノトウなど。2【果菜類】実の部分を食べる野菜。例、ナス・キュウリ・カボチャ・トマト・シシトウ・オクラなど。→根菜類・葉菜類新明解 国語辞典 第七版 P257 「桜ってお…

「SDGs」と「人類の進歩と調和」

SDGsという言葉を最近よく聞く。「エスディジーズ」と読み「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と訳す。2015年に国連で採択された。SDGsの大まかな内容について、外務省のホームページにあるPDFにはこう書かれてある。1.貧困や…

創作 お題「奇策」:タイトル「パンティ」

きさく【奇策】だれも思いつかないような、奇抜な計略。奇計。「―縦横」三省堂 新明解 国語辞典 第七版 P338 自宅のベランダに女性用の下着が落ちていた。いわゆるパンティというものだ。独身彼女なしの僕の住む家のベランダに黒いパンティが落ちていたのだ…

本当のスカウトをください

10年ほど前、二十代後半の頃、三回目の転職だったと思う、「スカウトが届きました」という件名のメールがとある転職サイトから届いた。転職コンサルタント会社のエージェントからのメールだった。僕のコピーライターの経験に注目したという。「こんな僕に…

したいことはリスクがあっても続けたほうがいい

若いときの苦労は買ってでもしろ、という言葉がある。簡単に言うと、若いときの苦労は将来役に立つという意味だ。若いときの苦労はたしかに大人になってから役に立つかもしれないが、苦労ばかりして好きなことをせずにいると大人になった時に取り返しのつか…

創作「階段」

いつもより三十分早く起きた。お母さんとお父さんは不思議そうにしていたけれど「今日から三年生だもんね」と僕の早起きと三年生になることを当然のように結びつけて考えているようだった。たしかに、僕が三十分早起きをしたことと僕が今日から三年生になる…

盆を戻すか戻さないか

立ち飲み屋や立ち食いそば屋やラーメン屋で、食べ終わったあとにカウンターに器やジョッキを戻す。誰もが経験したことがあるだろう。店によっては食べ終わった皿はカウンターに置いてください、なんて張り紙をしている店もあるが、そうでなくても食べ終わっ…

ごめん、志村。ありがとう、志村。

志村けんが死んだ。僕はその知らせを病院で知った。妻の付き添いでけっこう大きめの総合病院にいた。妻の採血を待つ間、ふとスマホを見ると、志村けん(70)死去という文字と、いつ撮影したのかわからない笑顔の志村けんの写真があった。病院という場所も…

こだわること

道具にこだわるという経験をしたことがあるだろうか。 以前ならあったかもしれないが、最近ではなくなりつつある。それは道具がただ便利なものになってしまったからだ。言うなれば平均化だろうか。どれも同じ値段、同じ品質であまり違いがなく、求められる機…

役に立たない仕事術

アニメーターwebライターコピーライターフリーターwebディレクターフリーライターライター今まで様々な仕事をしてきた。仕事の数だけ、いや、仕事の数以上に転職を繰り返してきた。今までやってきた仕事の中で一番楽しかった仕事はどれかと聞かれれば、アニ…

時の流れとは何か

時の流れとは何かを考えた。なぜこんなことを考えたのか。哲学でもなんでもなく、自分のブログの最終更新日を見たのがきっかけだった。最終更新日は2019年の8月4日。およそ7ヶ月も書いていない。7ヶ月も僕は何をしていたのだろうか。思い出そうとす…

例えばそれが落ちているだけで

道に落ちているものに興味を示すのは小学生ぐらいまでだろう。分別がつく年齢になると何が落ちていようが関係ない。財布やバッグなど自分に役に立ちそうなものなら拾うかもしれないがそんなものが落ちていることは滅多になく、落ちているもののほとんどがゴ…

酒飲み20年目、飲み方を改めるときなのかもしれない。ー「酔っぱらいに贈る言葉(大竹聡)」を読んで

酔っぱらいに贈る言葉 (ちくま文庫) 作者: 大竹聡 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/06/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る なぜ酒を飲むのか?という質問に答えるのは難しい。それはなぜ生きるのか?という質問の難しさに匹敵する。おい…

メディアは政党の広告とどう向き合うのか

女性誌のviviとニュースアプリのグノシーが自民党とタイアップしたコンテンツが賛否を呼んでいる。 viviは「どんな世の中にしたい?」というテーマで自民党のロゴ入りTシャツを着た女性モデルたちがそれぞれの想いを語り、さらに「#自民党2019」をつけ…

人間という無駄に立ち戻る ー映画「太陽の塔」(監督:関根光才)を見てー

太陽の塔。 それは、1970年に開催された日本万国博覧会のテーマ館の一部として建てられた芸術家岡本太郎の作品だ。 太郎はこれを万博のテーマである「人類の進歩と調和」に真っ向から立ち向かうために作った。もし太陽の塔が建てることができないのなら自分…

夢という言葉を過大評価していないか

とある企業の広告のキャッチコピーが話題らしい。 その一例がこちら。 会社勤めを理由に夢を諦めてはいけない。 予算を理由に夢を諦めてはいけない。 お金を理由に夢を諦めてはいけない。 これはクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」の屋外広…

偽善のススメ

朝の通勤電車。座れるなんて思っていない。しかしたまに座れる瞬間が巡ってくる日がある。その日の朝がそうだった。 つり革につかまった自分の目の前に座っている乗客が、僕が乗った次の駅で降りたのだ。たまにはこんなラッキーがあってもいい、と思った次の…

インターネットという箱を脱ぐ時(安部公房「箱男」を読んで)

●思い出すあの日もう20年も前のことだ。予備校から代々木駅まで徒歩数分の道のりを歩いていた。緩やかに延びる登り坂の先にある交差点で信号待ちをしているとあることに気づいた。 僕を見ている人なんて誰もいない。九州の地元にいたときには常に誰かの視線…

当たり前のことをもう一度考え直すー観察の練習(菅俊一)を読んでー

観察とは何か。 本書の中で著者はこう言っている。 観察とは、日常にある違和感に気づくこと。 この本を読んで僕が思った観察はこうだ。観察とは、当たり前のことをもう一度考え直すこと。 これは著者の言う「違和感」に気づくための過程とも言える。目の前…

親子は、なりたくてなるものではない ー私の男(桜庭一樹)を読んでー

●直木賞受賞作 僕はあまり恋愛小説を読まない。人の恋愛に興味がなく、小説で語られる恋愛にそれほど面白みを感じないからだ。 過去に本屋で何度も「私の男」を手に取った。しかしレジに持って行くことはなかった。その理由が裏表紙に「愛に飢えた親子が超え…

ロックマンをマリオのようにプレイしてはいけない〜ロックマン完全制覇プロジェクトを終えて〜

カプコンを代表するアクションゲーム「ロックマン」が今年30周年を迎える。そんな記念すべき年にナンバリングタイトルの最新作となる「ロックマン11」が、前作「ロックマン10」から約8年ぶりに発売される。 ●ロックマンとの出会い 初代ロックマンが発…

僕が短歌を詠む理由ーはじめての短歌(穂村弘)を読んでー

ある朝通勤電車の中で突然思った。 短歌を詠もう。 なぜか分からない。いつもと同じ代わり映えのしない朝を変えたかったのだと思う。その日が月曜日だったことも大きい。またいつもの一週間が始まる。この絶望をどうにか変えたかった。というより忘れたかっ…

人の背景になることー夕子ちゃんの近道(長嶋有)を読んでー

小説ってなんだろう。どんな小説を読みたいだろう。もし自分が小説を書くとしたら何を書きたいだろう。そんなことを考えていた。答えがあるわけではないが、それを見つけたいと思っていた。そして僕が出した答えは「生き方」だった。小説は「生き方」を描い…

すべてを理解できるなんて思わないようにー「犬婿入り」(多和田葉子)を読んでー

わからない。なぜ太郎はみちこの家に来たのか。電報とは何か。なぜみちこはいきなり現れた太郎に動じないのか。なぜ太郎は犬に噛まれて人が変わったのか、松原とはゲイ仲間なのか。なぜみつこは扶希子に固執するのか。なぜ太郎と松原は一緒に、そしてみつこ…

顔は弱いー「ペルソナ」(多和田葉子)を読んでー

自分が自分であることを定義している要素は何だろうか。顔、体型、声、名前、血縁、国籍、言語、性別、いろいろと考えられるが、おそらくほとんどの人が「顔」で自分が自分であることを確認していると思う。自分の顔は自分のものであることに間違いはないが…

太陽の塔に勝つためにー太陽の塔関連本二冊(平野暁臣)を読んでー

僕の岡本太郎歴はそれほど長くはない。 きっかけはNHKのドラマだった。 2011年2月に岡本太郎生誕百周年を記念して作られた「太郎の塔」というドラマを見て一気に岡本太郎に取り憑かれた。ドラマを見る以前から岡本太郎のことは知っていた。太陽の塔のこ…

うんち小噺「呪文」

酒を飲んで家に帰り、その日のうちに風呂に入れたためしがない。 目が覚めるとパンツ一枚で寝ていた。 時計は六時四十五分。そろそろ起きて風呂に入らないと遅刻してしまう。タオルとパンツを取って風呂に入った。 髪を乾かしテレビをつけると画面の左斜め上…

書かずにはいられない、それが小説家だ。ー鳩の撃退法(佐藤正午)を読んでー

佐藤正午は読ませる作家だ。読ませるとはどういうことか。例えるなら「わんこそば」のようなものだ。食べ終わったと思ったら次のそばがお椀に入れられている。そして口に運ぶ、するとまたそばが入れられる。もういいだろうと思うと次の文章が待っている。そ…